「どんな自分になりたいか」から始める時間投資戦略3つのステップ

1 週間前

「時間」──それは人生において最も重要な資産ではないでしょうか。自分が望む働き方や人生を実現するためには、限られた時間(1日24時間=1440分)を何に分配、投資していくのか、戦略的な視点が欠かせません。この「1440分の投資戦略 やめるに勝る時短なし」特集では、単なる時短術にとどまらない「時間投資ストラテジー」を紹介していきます。

第2回は、経営コンサルタントの藤井孝一さん。キャリアに大きな変化が起こる30代こそ、「のちに大きなリターンを得られる時間投資をすべき」と語ります。今回は前編です(後編は6月14日公開予定)

藤井孝一(ふじい・こういち)

profile

1966年生まれ。慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。5年の米国在住を経て、経営コンサルタントとなり独立。現在は株式会社アンテレクト代表取締役会長。ベストセラー『週末起業』(ちくま新書)、近著『すぐ動けない人のための時間割仕事術』(朝日新聞出版)ほか著書多数。

自分の時間の手綱を握ろう

時間は誰にでも平等に与えられた資産です。1日24時間=1440分しかないのは、誰にとっても同じですが、その使い方(投資)次第で人生は大きく変わってきます。

同じ「資産」として、時間とお金はよく比較されますが、「より意識的にコントロールする必要性が高いのは“時間”のほう」──そう語るのは、経営コンサルタントの藤井孝一さん。『週末起業』『30歳からの「時間」と投資術』など多くの著書で時間術を説いています。

意外なことに、藤井さんはもともと時間の使い方が上手ではなかったのだとか。油断するとすぐなまけてしまう性格で、なんとかしたいと試行錯誤をしながらたどりついたのが、著書などで紹介している時間術だそうです。

時間を有効に使えない自分を責めてしまう人にとっては、なんとも背中を押されるエピソードです。そんな藤井さんがまず強調するのは、「時間は非常に特徴的な資産である」ということ。

お金と時間はよく似ています。ひとつは有限であること、そして「消費」「浪費」「投資」の3つの側面を持っている点です。深く考えずに行動していると、ムダに消費・浪費してしまいがちです。

違うのは、お金は貯金や運用が可能で、あげることももらうことも、貸すことも借りることもできる一方、時間は貯めることもふやすこともできませんし、人とやり取りすることもできないこと。

しかし、例えば毎日1時間、資格試験や英語の勉強をしたり、人に会って話を聞いたり、本を読んだりすることで、そこで使った1時間が将来、何倍にもなって返ってくることがあります。これが時間の投資です。

そして、それを計画的に行うことが「時間の投資戦略」なのです。

まず「時間は人のためのものではなく、自分のものであるということを認識してほしい」と藤井さん。時間に追われたり、人に時間を管理されたりするのではなく、自分でマネジメントすべきということです。「自分の時間の手綱は自分で握るべき」と藤井さんは繰り返します。

30歳からの「時間」の投資術―――今のあなたは、1年前に決まっていた (知的生きかた文庫)

はじめの1歩は「どんな自分になりたいか」を考え抜くこと

そうは言っても、会社の始業時間から逆算して起床し、通勤機会が減ったとはいえど移動に時間を費やし、アポや締切の時間を気にし、「もうこんな時間!」と慌てて帰途につく……。そんな仕事に追われた毎日のなかで、どのように自分の時間を管理していけばよいのでしょうか。

時間を効率的に使いたいと思ったとき、まず頭に浮かぶのが「時短」のテクニックです。

朝の身支度や企画書の作成、会議の時間が半分になれば、時間はかなり浮くでしょう。

しかし、生まれた時間でムダな仕事をしたり、上司から別の作業を強要されたりするのでは、藤井さんの言葉を借りれば「まだ人に時間の手綱を渡している状態」。何のために時短をするのか、浮いた時間を何に使いたいのかといった目的を明確にすることが重要です。

せっかく仕事の効率を上げて時間を生んだのに、その時間を有効に使えていない人が多いと感じています。「時短」はあくまで手段なのに、効率を上げることが目的になってしまっていて、「何のために時間を生むのか」という視点が欠けているからです。

もちろん、今の会社で出世したい、業績を挙げたいというなら、次々と会社の仕事をこなしてやる気を見せて、上司の歓心を買ってもいいと思います。

しかしキャリアを飛躍させていきたいと考えるのなら、勉強や副業など未来の自分のために時間をあてていく必要があるでしょう。

この積み重ねが、お金の複利同様どんどん大きな差を生んでいくのです。

自己実現につながる時間投資のはじめの一歩は、「どんな自分になりたいか(理想の自分やライフスタイル=ゴール)を考えること」なのです。

過去を振り返ることが未来を思い描くヒントになる

しかし、漠然と「時間を上手に使いたい」と考える人にとって、自分の理想像を問われてもなかなか答えが出ないかもしれません。

実際、藤井さんのもとへも「時間は大切にしたいけど、夢なんてない」「10年後にどうなっていたいかわからない」などといった質問が寄せられるそうです。また、「いつか起業してみたいという思いはあるけれど、どの分野に進めばいいかわからない」といった声も少なくないとか。

将来のことを考えるとき、実は注目してもらいたいのは“過去”のこと。10年前や子どもの頃を振り返ると、自分がやりたいと思っていたことや好きだったことが洗い出され、大きな気づきになることが多いんです。

起業のテーマを見つけるワークショップなどでもよく用いるやり方です。

たしかに、社会に出て日々の忙しさに追われ、目の前のことをこなすことで精一杯になってしまうと、自分が好きだったことや思い描いていた夢は後回しになり、いつしか忘れてしまうこともあります。

過去に自分が考えていたことを振り返るために、藤井さんは10代、20代、30代と、世代別に自分年表を作ることもすすめています。

自分の未来を想像するのと同時に、これまで自分が取り組んできたことや身につけたスキルなどを振り返り、過去の自分の声も聞く。そんなアプローチで、まずはどんな自分になりたいか、時間投資によってどんなリターンを得たいかを考えてみてはどうでしょうか。

考える時間を確保して、計画を書き出そう

例えば、「10年後に年収2000万円稼げるようになる」という理想図を描いたとしましょう。それを現実にするために、「5年後に起業する」という計画を立てます。

退職して独立するためにはどんな事業をするのかというビジネスモデルと事業の運転資金も必要です。そのために具体的に何をすればいいのか、毎月どれくらい資金を貯蓄していけばいいのか、自分自身にどんなスキルや資格、人脈が必要か、どんどん落とし込んでいきます。

そして「最終的に今日何をする必要があるのか、そのためにどれだけの時間が必要かということまで明確にした上で、時間の捻出に着手すべき」と藤井さんは話します。

これらの時間の投資戦略を練る流れが以下の3ステップです。

1.まず「やるべきこと」を書き出す

2.その「所要時間」を算出する

3.それをいつやるか「計画」に落とし込んでいく

この3ステップを習慣づけることが「時間の投資術」の要点です。時間を自分でコントロールするためには、一にも二にもまずは自分で計画すること、できればそれを書き出すこと。それが自分だけの時間投資計画になります。

よく「計画ばかり立てても意味がない」「先のことより今日が一番大事」という人がいます。それは間違いではありませんが、計画を立てるのは未来のためだけではなく、今日この日を最大限活用するために必要なことなのです。

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次回、後編(6月14日公開予定)は、時間投資術の実践編。すべきことを見える化する「時間割」のテクニックを紹介します。

大人の週末起業

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