2021年03月04日 21時00分サイエンス
by Mallefet et al., Front. Mar. Sci., 2021
今回生物発光することが特定された3種のサメのうち、特に体が大きいのがヨロイザメで、最大で全長180cmまで成長することが分かっています。このことから、Mallefet氏らはヨロイザメを「発光することが判明している既知の脊椎動物としては最大」と位置づけました。
また、以下はフジクジラの発光パターンを撮影したもの。フジクジラでは、特に腹側に発光器が集中している様子が観察されました。
by Mallefet et al., Front. Mar. Sci., 2021
ヨロイザメやフジクジラ、トゲニセカラスザメは、いずれも水深200~1000mの「トワイライトゾーン」と呼ばれる領域に生息しているサメです。この深さの海にはごく微弱な太陽光が差し込むので、より水深が深い領域から海面の方向を見ると、泳いでいる生き物のシルエットがくっきりと浮かび上がります。
そのため、科学者らは「サメは、自ら発光して薄明かりの中に体を溶け込ませるカウンターイルミネーションを使って身を隠し、獲物に忍び寄っているのではないか」と推測しています。ただし、カウンターイルミネーションだけではヨロイザメのように背ビレまで光るという点を説明できないため、研究チームはさらなる調査が必要だと結論付けました。
世界最大の光る脊椎動物を特定した今回の発見に際して、Mallefet氏は「私の目標は、地球上で最も広大なのにもかかわらず謎が多い深海についてもっとよく知り、その環境を保全することの重要性について人々に知ってもらうことです」とコメントしています。