AMDのリサ・スーCEOがCPUやGPUの品不足やモバイル版Ryzen 5000シリーズについて語る

2 日前

Q:
2020年11月にはAppleがArmベースの独自SoCであるM1を発表し、話題となりました。AppleはかねてからMacのGPUにAMDのRadeonシリーズを採用しており、このM1の発表はAppleとAMDの関係に影響を与える可能性があります。

スーCEO:
Apple M1は市場にどれだけの処理能力と革新性があるかを示しています。M1の登場はハードウェアとソフトウェアの両面で革新を行う機会を生み、従来の命令セットアーキテクチャという枠から解放されるチャンスとなります。私たちの立場からいえば、PCの分野にはまだイノベーションの余地があります。私たちには多くの選択肢があり、多くの異なる環境で同じプロセッサを使用できますが、今後数年でプロセッサの住み分けと差別化が進むと予想されます。AppleがM1を打ち出してもなお、AMDはパートナーとしてAppleと手を組み続けています。

Q:
また、AMDの製品が話題となっても供給が追いつかず、ユーザーがなかなか購入できないという問題があります。

スーCEO:
これは、製造上の問題ではなく、需要を重視した環境によるものです。需要によってサプライチェーンがひっ迫し、家庭用ゲーム機向け、PC向け、ゲーミングPC向けの製品ラインが必然的に圧迫されることとなります。私たちはこの予想外の需要に対応するために、半導体の生産ラインを追加で増強しています。需要に供給が追いつくには時間がかかるでしょうが、これが現実なのです。

Q:
「需要に供給が追いつかない」という状況はいつまで続くのでしょうか?

スーCEO:
AMDは多くの部品を出荷していますが、すべての部品で出荷量が増加しています。この出荷量の増加は2021年いっぱいまで続くと思われます。上半期は厳しい状況になると思われますが、消費者向けにはOEMパートナーにも出荷しており、エンドユーザーとOEMの間にはリアルタイムの優先順位付けが行われています。私たちは消費者がより多くの製品を求めていることを理解しており、この高い需要を満たすことを優先順位リストの上位に置いています。

Q:
AMDは「製品を低価格で販売し続ける」という戦略を打ち出していますが、アメリカの関税問題や新型コロナウイルスによる物流の混乱もあり、価格設定は難しくなっていると思います。

スーCEO:
アメリカの関税免除が失効することは承知しており、AMDはより柔軟なサプライチェーンに向けてあらかじめ取り組んでいました。GPUの価格設定を可能な限り小売価格に近いものにするようにしているのは、それがユーザーに公平であるための唯一の方法だからです。通常、GPUが発売されるときには自社ブランドのグラフィックカードが発売されますが、その後はパートナー企業のものを入手できるように段階的に廃止します。ただし、Radeon RX 6000シリーズの場合は段階的に廃止するのではなく、できるだけ低い価格でお客様に直接販売できるようにします。私たちはパートナー企業にも同じことをするように促しています。

関税だけでなく、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、出荷コストや運送費が増加しました。パンデミックが落ち着けば、出荷コストと運送費は改善されるはずです。多くの製品が市場に投入されるため、2021年上半期までに予定しているグラフィックスのアップデートにも大きく関係しています。

Q:
CPUのコア数については、ノートPC向けで8コア、デスクトップ向けで16コア、データセンター向けで64コアが市場の限界ではないか、という指摘もあります。

スーCEO:
将来的にはCPUのコア数は増えるでしょうし、現状が限界とは思えません。システムの残りの部分をスケーリングすると、さらなるコア数増加を実現できます。マーク・ペーパーマスターCTO(最高技術責任者)、シニア・フェロー設計エンジニアのマイク・クラーク氏、そしてチームは素晴らしい仕事をしてくれました。私たちはZen 4やZen 5に焦点を当てた意欲的なロードマップを想定しており、非常に競争力のあるものにしています。

また、GPUに関しても、Radeonテクノロジー・グループ・エンジニアリング担当シニア・ヴァイスプレジデントのデヴィッド・ウォン氏とチームが長期的なロードマップに焦点を当て、革新性、パフォーマンス、予測可能性を得るためにリスクの適切な組み合わせを選択しています。さいは投げられ、私たちはその行く先を見るだけです。例えば、RDNA 2アーキテクチャについては電力効率と全体的なパフォーマンスでは満足しており、続くRDNA 3アーキテクチャではその他の多くに焦点を当てています。特にAIに特化した部分に投資を行っており、2020年11月に発売されたCDNAアーキテクチャのように、CPUとGPUにAI機能を追加していく予定です。

スーCEO:
AMDとザイリンクスの契約がまとまったことにわくわくしています。これはAMDにとって、今後も多くのテクノロジーを展開するための大きなステップです。AMDはここ数年で大きな進歩を遂げており、顧客との深いパートナーシップを築き、最も重要なプラットフォームを支える信頼関係を築いています。私たちは、大企業がAMDをサプライヤーとして信頼してくれることを望んでおり、ザイリンクスの買収はそれを後押しするものとなるでしょう。ザイリンクスの買収は、次のステップとして最適です。私たちは、より大きなフットプリントを持ちたいという願望を持っており、ザイリンクスはAMDの基本ビジネスを手助けしてくれます。ザイリンクスのヴィクター・ペンCEOは、AMDのビジネス戦略の一環としてAMDの一員となり、ビジネスのシームレスな移行を期待しています。この姿勢こそがリーダーに望まれるものであり、私たちは広く大きく成長しなければなりません。AMDはその両方を行えます。

Q:
2020年末にはRadeon RX 6000やEPYC Milanの出荷も開始しています。また、2020年1月13日にはRyzen 5000 Mobileシリーズが発表され、2021年第1四半期(1月~3月)中にRyzen 5000 Mobileシリーズ搭載のノートPCがリリースされる予定です。そのためにAMDはどのような計画を立てていますか?

スーCEO:
Ryzen 5000 Mobileシリーズ、すなわちCezanne世代のAPUは2021年初頭の出荷に向けて生産しなければなりませんでした。2021年の第一四半期あるいは上半期に製品を発売するためには、2020年第4四半期に最初の生産ロットが用意できるようにすることが重要でした。AMDは、製品の流れに合わせてハードウェア生産のタイミングを選択します。

ハードウェア生産のタイミングを選ぶのには特に決まった方法があるわけではありません。ただ、需要の市場を(時には何カ月も前に)予測する「適切な賭け」がすべてです。例えば、PlayStation 5やXbox Series X向けに家庭用ゲーム機向けのAPUを数百万基も有効にする必要がありましたが、ここでは予想以上の需要がありました。ソニーやMicrosoftなどのOEMパートナーと協力するということは、異なる戦略も可能になるということです。

スーCEO:
Ryzen 5000 Mobileについては、搭載モデルが2021年内に150種類以上も登場すると発表しており、Ryzen 4000 Mobileの時の1.5倍にのぼります。これには商用システムへの展開も含まれており、AMDはRyzen Proプラットフォームでのセキュリティソリューションの実現に力を入れています。また、Ryzen Proに関する新しい取り組みも予定しています。

ビジネス部門では、データセンター向けプロセッサであるEPYCへの注力を拡大しています。つまり、異なる垂直市場をターゲットとしたビジネスソリューションを提供します。これにより、顧客がAMDのソリューションをより迅速に導入できるようになります。その先駆けとして、2020年第4四半期にOEMパートナーへのEPYC Milanの出荷を開始しました。これについては、2021年第1四半期にEPYC Milanを正式発表する際に詳しく説明する予定です。

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